『ただいま待機中につき』第14話「期待と出会い」で際立つのは、メイの嫉妬と優しさが同時に動く厄介さです。川崎を自分のそばへ置きたいです。それでも大学で孤立させたくはないです。相反する願いを抱えたメイが、公の場で選んだ振る舞いに恋人未満の切なさが詰まっていました。
第14話のネタバレ
他の女性と川崎が近づいたことを面白く思わないメイは、その不満を素直には言いません。川崎の側もメイの態度が気になりながら、二人の関係を大学で明かせないため、正面から確かめられないままです。
そんななか、木下たちが川崎を飲み会へ誘います。友人の輪へ入ることに慣れていない川崎を、メイは他人のような顔を保ちながら後押ししました。自分だけが知る川崎の良さを、周囲にも見つけてほしいような行動です。
飲み会では物静かな海野りんごが川崎の隣へ座ります。ここで新しい出会いが置かれたことで、メイと川崎だけで閉じていた関係へ外の風が入りました。第14話は恋敵が増えた回というより、川崎の大学生活が初めて自力で動き始めた回です。
第14話の感想と考察
メイの嫉妬
メイの嫉妬は、川崎を責める言葉よりも温度差として現れます。第13話では「好き」を冗談へ紛らわせるほど近づいたのに、別の女性の影が入った瞬間、今度は簡単に近づけなくなります。進展した直後だからこそ不安になるのが、妙に生々しいんですよね。
二人は付き合っていません。川崎が誰と話そうが、メイには止める資格がないです。その事実をメイ自身が一番よく分かっているから、嫉妬を堂々と表に出せません。怒れば自分の好意まで説明する必要が出てくるし、黙れば川崎には伝わりません。完全に詰んでいます。もどかしいです!
ここでメイが見せる冷たさは、川崎への関心が薄れた態度ではありません。むしろ逆。川崎の行動を細かく意識してしまうから、平気な顔を作ろうとして不自然になるわけです。普段は人をからかう側のメイが、自分の感情には振り回されています。この逆転がかわいいです。
男目線では、メイほど魅力的な女性が嫉妬してくれる状況に「川崎そこ代われ」と言いたくなります(笑)。ただ、川崎本人は嫉妬だと確信できません。好かれていると思い込んで失敗したら、同居も秘密の共有も崩れかねません。浮かれるより慎重になるのは当然でした。
大学での援護
メイの感情を最もよく表しているのは、川崎を飲み会へ送り出した行動です。独占したいだけなら、誘いを流すように仕向ければいいです。ところがメイは、大学での二人の関係を隠したまま、川崎が輪へ入りやすいように助けます。
この場面には、家で見てきた川崎への評価が出ています。料理を作り、話を聞き、女性陣が安心して休める場所を守る男。メイにとって川崎は、とっくに「友達がいない地味な同級生」ではありません。その良さが大学では誰にも知られていないことを、少しもったいなく感じていたのではないでしょうか。
同時に、メイは自分が川崎の世界を独占してしまう危うさにも気づいていそうです。川崎の交友関係がメイとセラピスト仲間だけになれば、彼はますますメイへ依存します。それは甘いけれど健全ではありません。好きな相手を自分の檻へ入れるのではなく、外へ送り出します。さらっとやっていますが、かなり優しい選択です。
もちろん、余裕だけでできた行動ではありません。送り出した先で川崎が誰かに好かれる可能性もあります。実際、その席にはりんごがいました。自分で背中を押しておきながら、あとでモヤモヤする未来まで見えるのがつらい(笑)。それでも押しました。メイの恋心より、川崎の孤独を終わらせることを優先した瞬間でした。
川崎の交友関係
第1話の川崎は、大学で話せる相手もいない状態でした。ところが第14話では木下たちから飲み会へ誘われます。この変化は、女性に囲まれているという派手さとは別の、地味で大きな前進です。
川崎は親切ですが、自分から人の輪へ飛び込むタイプではありません。部屋へ来た人を受け入れることはできても、大学で自分から席を詰めるのは難しいです。そんな彼に必要だったのは社交術ではなく、輪の中へ入る最初のきっかけでした。メイはそこだけを手伝い、あとは川崎本人へ任せます。
この構図がいいです。メイがすべてを世話してしまえば、川崎の成長にはなりません。逆に放っておけば、本人は遠慮して断る可能性が高いです。ほんの少しだけ扉を開けます。その加減に、同居生活で培った理解が表れていました。
川崎にとって飲み会は、モテるためのイベントではありません。自分も大学の人間関係へ参加できると知る場です。だからこそ、隣に座ったりんごとの会話にも意味が生まれます。孤独な男がいきなり恋を獲得するのではなく、まず他人とつながれる自分を知ります。そこを飛ばさないのが誠実でした。
海野りんごの登場
海野りんごの登場は、単純な三角関係の合図には見えません。飲み会の賑やかさのなかで物静かに座る彼女は、むしろ以前の川崎を映す存在です。人の輪の中心ではなく、端で様子を見ています。川崎が気づけるのは、自分にも同じ時間があったからでしょう。
ここで重要なのは、メイとは違う接点から関係が始まること。メイとの出会いには秘密と生活の近さがありました。りんごとの出会いは、大学の公の場所で、孤立しがちな二人が偶然隣になるところから始まります。同じ男女の接近でも、入口がまるで違います。だから関係の育ち方も変わるはずです。
りんごが入ることで、川崎は「メイに選ばれる側」だけではいられなくなります。自分から話題を探し、相手の居心地を気にし、自分の判断で関わる側へ移ります。次の第15話でその力が試される前に、第14話は席を用意したわけです。
メイにとっても、りんごはまだ名前も知らない脅威でしょう。自分が川崎の世界を広げたいと願った結果、その広がった世界から誰かが川崎へ近づきます。いや、恋って面倒くさいです。けれど、この面倒さが入ったことで二人の関係は「家の中だけの特別」では済まなくなりました。
第14話まとめ
第14話「期待と出会い」は、メイが嫉妬を抱えながら川崎を大学の輪へ送り出す回でした。自分のそばに置きたい気持ちと、孤独から救いたい気持ち。その両方が本気だから、メイの態度は冷たくも優しくも見えます。
川崎は受け身のまま守られる段階を抜け、大学で新しい関係を作り始めました。その最初の相手として現れたのが海野りんごです。りんごは恋敵候補である前に、かつて孤独だった川崎が手を差し出せる相手。メイの援護がどんな出会いへつながるのか、期待と不安を同時に残す締めでした。


