この記事は『ひぐらしのなく頃に』のネタバレを含みます。
綿流し編で圭一が人形を魅音に渡さなかったことは、魅音を傷つけ、詩音の感情にも影響しました。ただし、あの人形一つで事件のすべてが起きたわけではありません。
「魅音に渡しておけばよかったのに!」とは思います。でも、その一言で済ませると、魅音が何を悲しみ、詩音が何に腹を立てていたのかを見落とします。
魅音が欲しかったのは人形だけではない
圭一は景品の人形をレナへ渡します。可愛い物が好きなレナなら喜ぶという判断ですが、魅音にとっては、自分は女の子として見てもらえないと感じる出来事でした。
魅音は部活で頼れるリーダーとして振る舞い、圭一とも遠慮なく言い合います。その関係は楽しくても、圭一に好意を持つ魅音にとって、ずっと男友達のように扱われるのは別の話です。
欲しいと言えないまま、欲しくない側に数えられてしまいます。人形そのものより、圭一が自分をどう見ているかがつらかったのだと思います。ここは魅音に肩入れしてしまいますね。
魅音の恋が詩音の悟史への思いに触れる
詩音には、悟史を失った痛みと園崎家への疑いがあります。魅音の恋愛の悩みは、その状態にある詩音へ届きます。
好きな相手が目の前にいて、また会うことも話すこともできる魅音。それに対して、自分は悟史に会えません。二人の状況の差が、詩音の嫉妬や怒りと結びついていきます。
魅音を慰めたい気持ちと、魅音を羨む気持ちは両立し得ます。姉妹だから相手の幸せを素直に喜べるはず、ともいきません。人形の一件が重くなるのは、詩音がすでに抱えていたものがあるからです。
人形を渡せば黒幕まで消えるわけではない
人形を魅音へ渡す選択は、魅音との関係を変えるきっかけになります。皆殺し編での違う選択も踏まえると、些細な行動に意味があることは分かります。
ただ、詩音の暴走を避けることと、雛見沢にある別の惨劇を止めることは同じではありません。人形を渡したから鷹野の計画まで解消される、という因果にはなりません。
圭一の選択は重要です。でも圭一が人形を渡さなかったから、後の殺人の責任まで負う、とは思いません。魅音への配慮と、詩音が実際にしたことの責任は別です。
日常のすれ違いが後から効いてくる
最初は、鈍い圭一にやきもきする恋愛の場面として見られます。ところが目明し編まで進むと、何気ない相談を聞いた詩音の側にも目が向きます。
人形は事件の凶器でも、秘密の証拠でもありません。それでも、姉妹が同じ恋愛話を同じ気持ちで聞いていなかったことを示す小道具になっています。
魅音には言ってほしかったし、圭一には気づいてほしかったです。そう思わせる日常があるからこそ、その後の取り返しのつかなさが余計にしんどいんですよね。
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