第4話で明かされるのは、朝霧要が菜々を愛する理由だけではありません。両親の仇を討った後、生きる目的を失った要を、隣人だった菜々が死の淵から引き戻していました。今度は要が菜々を救う番。しかし彼が選んだ手段は、菜々に救われる前の自分へ戻ることです。この逆説を中心に考えます。
復讐主夫4話ネタバレ
要は病院で危険な状態が続く菜々に寄り添い、二人の出会いを思い返します。かつて両親を殺した者への復讐を終えた要は生きる目的を失い、自ら命を絶とうとしていました。その異変に気づき、部屋へ飛び込んで救った隣人が菜々です。
菜々は要の事情を無理に聞き出さず、以後も彼を気にかけ続けました。その関わりが要を日常へ戻し、やがて二人は夫婦になります。要にとって菜々は愛する妻であると同時に、命の恩人でした。
現在では、沼田の端末へ薮木玄徳から迎えを求める連絡が入ります。要は沼田になり代わって待ち、車へ乗り込んだ薮木の反撃を封じて確保。過去の救いと現在の復讐がつながり、次の制裁へ進みます。
復讐主夫4話考察
菜々が朝霧要の異変に気づけた理由
菜々と要は、最初から深い関係だったわけではありません。隣人として暮らす中で異変を察し、危険を承知で助けに入りました。ここに菜々の性格が凝縮されています。知らないふりをすれば通り過ぎられる苦しみを、放っておけない人物です。
第5話で判明する、見知らぬ女性を助けようとして菜々が狙われた事実ともつながります。要を救った行動と、事件の日の行動は別々の偶然ではありません。誰かの危機へ踏み込む性質が一貫しているのでしょう。
要が菜々を特別に思うのは、命を救われたからだけではありません。彼女は要の過去を暴いて評価するのではなく、今ここで生きている人として気にかけました。殺し屋でも復讐者でもない自分を初めて見つけてもらった感覚があったのかもしれません。胸に来ます。
ただ、その優しさは危険と隣り合わせです。菜々は相手が何者か分からなくても手を伸ばします。善意が要を救った反面、別の悪意へ近づく理由にもなりました。この反復があまりに残酷です。
両親の復讐後に要が生きる意味を失った理由
要は両親を殺した相手への復讐を目的に、殺し屋の道へ入ったと示されます。目的を果たした後、自分も終わろうとしました。復讐が彼を生かしていたのに、完了した瞬間、次の日を迎える理由が消えたわけです。
この過去があるため、現在の復讐は以前より危険に見えます。要は一度、仇を倒しても救われなかった経験を持っています。それでも同じ道を選びます。結果では心の穴が埋まらないと知りながら、ほかの方法を選べないほど追い詰められているのでしょう。
前回は復讐後に菜々が要を救いました。しかし今回は、その菜々自身が意識を失っています。終わった後に手を引いてくれる人がいません。いや、この違いは重すぎます。ワルプルギスを壊滅させた先で、要が再び生きる目的を失う可能性があります。
さらに、菜々の回復を復讐の完了と結びつけることもできません。薮木を倒しても彼女が目覚める保証はないからです。要は変えられない現実へ耐える代わりに、変えられる敵の生死へ集中しているのかもしれません。合理的に見えて、心はかなり危ういです。
薮木を車へ誘い込んだ要の作戦を考察
要は沼田の端末へ届いた連絡を使い、薮木が自分から車へ乗る状況を作ります。標的の居場所を探し回るより、日常の連絡網を乗っ取って待ちます。組織の習慣をそのまま罠に変えました。
薮木は沼田を迎え役として使うことに慣れ、相手を警戒していなかったのでしょう。部下を道具のように扱う関係だから、連絡の異常や遅れまで丁寧に確かめません。上下関係の雑さが要に侵入の隙を与えています。
要がガスマスクを用意し、車内で薮木の動きを封じた点にも無駄がありません。腕力で殴り合えば、騒ぎや逃走の危険が増えます。閉じた空間と薬剤を使えば、相手の強さに左右されず捕らえられます。さすが元殺し屋。えぐいほど準備が先に終わっています。さらに、薮木をその場で倒さず捕らえる必要もありました。事件の中心へ近い人物なら、菜々が狙われた理由や組織の上層について情報を持つ可能性があります。静かな作戦の中に、次の尋問まで組み込まれていたのでしょう。抜け目がないです!
ただ、この手口は要が再び殺し屋の思考へ完全に戻った証拠でもあります。菜々との過去を思い出した直後なのに、実行へ移ると感情を切り離して標的を処理します。その切り替えが格好よく、同時にゾッとします。
命の恩人を救えない要の心情
要は過去に菜々から直接命を救われました。だから今度は自分が救いたいはずです。ところが病院でできるのは手を握り、回復を待つことだけ。凄腕の殺し屋という能力は、菜々の治療には役立ちません。
人を殺す技術はあるのに、愛する人を目覚めさせる力はないです。この無力感が要を薮木へ向かわせているのでしょう。医療の結果は待つしかないのに、敵への制裁なら自分で進められます。動ける場所へ怒りを集中させないと、立っていられないのかもしれません。しんどいです。
菜々が要を救った方法は、相手を傷つけることではなく、気にかけ続けることでした。要が菜々を救おうとして選んだのは、反対に誰かを消すこと。この対照が本作の核でしょう。愛情の深さは同じでも、救い方が正反対です。
もし菜々が目覚めたなら、要の行動を喜ぶとは限りません。自分が救った命が、自分のために再び殺しへ使われています。その事実は菜々にとっても苦しいはずです。おい、これでは二人とも救われないじゃないか。薮木を捕らえた爽快感の裏で、夫婦の未来への不安が一気に強くなりました。菜々は要を過去ごと裁かず、生きてほしい人として扱いました。だから要に必要なのは、敵を全員倒すことだけではないはずです。菜々が目覚めるまで自分も生き残り、再び手を握り返してもらえる場所へ戻ること。そこまでできて初めて救いになるのでしょう。
復讐主夫4話まとめ
第4話では、両親の復讐を終えて生きる意味を失った要を、隣人だった菜々が救った過去が明かされました。現在の要は、沼田の端末へ届いた連絡を利用して薮木を車へ誘い込み、反撃を封じて確保します。
菜々は要を殺し屋ではない人生へ戻した存在です。その菜々を救うため、要は救われる前の自分へ戻っていきます。ここが痛いです。次に問われるのは、薮木が事件について何を語るのかだけでなく、要が制裁を終えた後に再び主夫の暮らしへ帰れるのかです。


