この記事は『ひぐらしのなく頃に』のネタバレを含みます。
目明し編で詩音が暴走したのは、悟史の失踪を園崎家の仕業と思い込み、彼を奪った相手への復讐を始めたからです。そこへ家への恨み、魅音への嫉妬、雛見沢症候群による疑心暗鬼が重なります。悟史を好きすぎた、だけでは説明しきれない苦しさがあります。
悟史の失踪で復讐の相手を間違えた
詩音にとって悟史は、本家から遠ざけられた生活の中で好きになった相手でした。その悟史が綿流しの時期に姿を消します。北条家が村から冷遇されていた事情もあり、詩音は御三家、とくに園崎家を疑います。
作者の竜騎士07氏も、詩音が悟史の失踪を御三家の暗躍と判断して復讐する話だと説明しています。暴走の中心にあるのは、犯人を知って復讐したのではなく、犯人を取り違えたまま復讐したことです。
園崎家への恐怖には実際の理由があった
詩音は聖ルチーア学園へ送られ、家から距離を置かれていました。さらに、悟史との関係をめぐるけじめで爪を剥がされています。園崎家が恐ろしいという感情まで、何もかも妄想だったわけではありません。
だから家が悟史を消したという疑いも、本人にはつながってしまうのでしょう。自分にあれだけのことをした家なら、悟史にも何かするはずだ、と。その気持ちは分かってしまいます。でも、悟史の失踪の真相は別でした。この噛み合わなさがつらいです。
魅音は、お魎に問い詰めて聞いた話として、園崎家は悟史の失踪や連続怪死事件に関わっていないと訴えます。詩音が欲しかった答えは届いていたのに、疑いが強くなった彼女には受け入れられませんでした。
圭一と魅音の恋が悟史の不在を刺激した
詩音は圭一に悟史の面影を重ねます。一方、魅音は圭一に恋をしています。自分の好きな相手は帰ってこないのに、同じ顔の魅音には恋の続きがあります。その差が詩音の孤独を強めたと読めます。
魅音が悪意を持って幸せを見せつけていたわけではありません。詩音には、魅音の悩みを聞くこと自体が、自分にはもうないものを意識する時間になってしまいます。ここでは姉妹の近さが、かえって残酷に働いています。
悟史のための復讐が悟史との約束を壊した
悟史は詩音に沙都子を託していました。それなのに詩音は、悟史を苦しめた相手として沙都子にも怒りを向けます。
この時点で、悟史のためという気持ちと、悟史がしてほしかったことが離れています。最後に詩音が悔やむのも、敵を見誤ったことと約束を破ったことでした。
詩音の怖さは、悟史への気持ちが嘘だったことではないと思います。本気で好きなのに、その人の願いを受け止められなくなります。園崎家への怒りが何をしてもよい理由になり、守るはずだった相手まで傷つけてしまいます。その崩れ方に、目明し編の悲劇があります。
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