この記事は『ひぐらしのなく頃に』のネタバレを含みます。
暇潰し編の誘拐事件の目的は、犬飼建設大臣の孫を人質にして、雛見沢ダム計画を止めることです。原作の解答編まで踏まえると、お魎が誘拐を企てたという理解ではなく、山狗の工作と、園崎家が自分たちの威力を示す振る舞いを分けて読む必要があります。
犬飼寿樹を誘拐した目的は何か
誘拐されたのは、建設大臣の孫・犬飼寿樹です。犯人から脅迫を受けた大臣は、警察へ大きく相談するより、要求を受け入れて事件を収めようとします。
狙われたのが大臣本人ではなく孫なのが嫌らしいところです。職務上は拒める要求でも、家族の命を持ち出されると判断が揺らぎます。犯人は、その立場を利用しています。
事件が解決すると、ダム計画は凍結され、反対闘争も終結します。星海社のコラムも、公安が捜査した理由を政治的な犯行だったためと説明しています。身代金を取って終わる事件ではありません。
なぜ雛見沢のダム反対運動が疑われたのか
赤坂が調べる鬼ヶ淵死守同盟は、ダム建設に反対し、犬飼大臣へ陳情したことのある団体です。要求を通したい相手と、誘拐で脅されている相手がつながっています。
ただ、赤坂は最初から「この村ならやる」と考えていたわけではありません。大臣を屈服させる手口を見て、田舎の住民団体にそこまでの力があるのかと疑います。
部活メンバーの日常から見てきた雛見沢と、公安の捜査対象として見る雛見沢では、印象がかなり違います。村の結束が頼もしく感じられる場面もあれば、外からは誰が何を握っているのか分かりません。この事件は後者を強く見せます。
園崎お魎が黒幕だと言えるのか
原作・罪滅し編での魅音の説明は、誘拐を園崎家の犯行とはしていません。 自分たちが関与したように見せ、家の権威を保つ振る舞いと、実際に誘拐を計画・実行したことを区別しています。
暇潰し編では、お魎が事件を知り、終わらせるよう働きかける場面があるため、最初から指示していたようにも見えます。しかし、事件を知っていること、介入できること、発案者であることはそれぞれ別です。後の魅音の説明を読むと、この区別が効いてきます。
原作の後の説明を踏まえると、お魎主導という第一印象を見直せます。
山狗がダム計画を止めたい理由
原作では、後に山狗の小此木と分かる人物が誘拐の実行に関わっています。雛見沢が水没すると、村を拠点とする症候群の研究も維持できません。村を残したいという利害は、住民と研究を続けたい側で一致しています。
同じダム反対でも、暮らしを守りたい住民と、研究環境を守りたい組織では理由が違います。この重なりを見落とすと、村が助かったのだから村の有力者が全部仕組んだ、と考えてしまいます。
小此木とのつながりは原作側の説明です。旧アニメの誘拐犯の外見を、そのまま後の小此木と見比べて同一人物だと判断する話ではありません。
暇潰し編の誘拐犯と入江の発言をつなげると、後の真犯人へ近づく手掛かりが見えてきます。園崎家の名前だけを追っていると、そのつながりを見落としてしまうわけです。
誘拐は後の祟りと同じ事件ではない
暇潰し編の舞台は、連続怪死事件が始まる前です。大臣を動かす誘拐と、後年の綿流しで起きる死や失踪は、目的も事件も異なります。
誘拐も後の惨劇も「全部お魎の命令」とまとめると、園崎家が見せる威勢を、そのまま犯行の証拠にしてしまいます。誘拐ではダム計画を止める目的があり、その背後には住民の反対運動だけでは説明できない研究側の事情もあります。この二つを分けると、赤坂が村の結束以上のものを感じ取った怖さが残ります。
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